【社会】西日本豪雨 被災地 墓石倒れ、修繕めど立たず…苦悩の盆 先祖弔えぬ

西日本豪雨の被災地では広い範囲で、月遅れ盆に入っても倒壊した墓石がそのままになっている。管理する親族がいない無縁墓や、墓主が年金生活の高齢世帯の場合など、修繕のめどが立たない墓があるためだ。故郷に帰省した人々との交流や先祖を弔う場にもなっていた盆踊りを中止せざるを得ない地域もあり、住民は頭を悩ませている。(猪塚麻紀子、尾原浩子)

管理者不在、高齢化も

 山口県下松市の笠戸島。50以上の墓が集まる深浦地区の墓地は、豪雨により墓石が土台から倒れ、土砂に埋もれてしまった。道は墓石でふさがれ、崖崩れが起き、歩くのも危ないほどだ。

 150戸が暮らす同地区の自治会長で米農家の古谷俊治さん(76)が、倒れて砂まみれになった墓の前で手を合わせる。古谷さんの家の墓は被害を免れたが、長年、島を支えてきた先祖たちのためにも、墓地を元通りにしたいと願わずにはいられない。しかし、倒壊した墓は供養する親族のいない「無縁墓」が多い。家や農地が被害に見舞われ、墓を新しくするのも難しい年金生活の島民もいる。同じ墓地でも壊れなかった人もいる。墓地は古くから島民が管理してきたが、修繕費を全戸に呼び掛けるのは難しい。

 墓地は次に暴風雨が来ればさらに崩れる可能性もあるが、元通りにするには相当の金額が必要となる。古谷さんは「墓主が地元にいれば話し合えるが、島を離れて疎遠になった墓主もいる。市には、市営ではないので支援を断られた。どうしたらいいのだろう」と悩む。

 島内では、豪雨災害で盆踊りを中止する地区もあったが、深浦地区は今年も盆踊りを決行する。古谷さんは「6戸が初盆を迎えるから、どうしても盆踊りがしたい。豪雨で皆が悲しんでいる今年の盆こそ、帰省した人も合わせて心を込めて供養したい」と思いを明かす。

 墓地は海を見下ろし、浜辺の鳥居が見える高台にある。笠戸島自治会連合協議会会長の辻國政さん(76)は「先祖が、この美しい場所で眠ってほしいと墓地にしたに違いない。先祖を大切にする島民にとって、墓参りや盆は特別な意味がある」と説明する。

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